PREV| PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

迎春,「喜劇 列車シリーズ」のススメ。

2009.jpg

新年おめでとうございます。
子供の頃は”正月=寅さん”でありました。実際は正月に「男はつらいよシリーズ」を劇場で観たのは一度きりなのですがそれでも、当時寅さん映画は明らかに正月の風物詩であり今だあのお馴染みのイントロを耳にすると、蝉の声を聞き夏を想うがごとく にわかに初春の日の陽だまりのような穏やかな暖かさと新年の高揚を感じます。
正月休みに観る映画は?と云うとやはり、寅さん同様穏やかで昭和日本の情緒がありちょっぴり笑えるものが良いかと。と必然的に邦画,確信的に渥美さんの作品になる。



「喜劇 列車シリーズ」三作。正月らしくドーンと並べてみる。
渥美さん扮する国鉄職員が佐久間良子嬢に淡い恋心を抱くコメディだが、いづれも設定は別人。一本調子にならぬようキャラの味付けを微妙に変えている渥美さんの芸が光る。毎回のお約束は主人公の妄想シーン。

『喜劇 急行列車』(1967年)
車掌・青木吾一役。実際のロケを行なったと念われる寝台特急内部や車窓の景色が旅情を誘います。私は観ていて子供の頃 車内販売で3つくらいアミに入れ、凍らせて売ってたミカンが無性に食べたくなりました。
間違って車内放送オン・マイクで良子嬢との想い出を語ってしまうシーンが可笑しい。お調子者の後輩、鈴木ヤスシ氏と大原麗子嬢のカップル(いや麗子様ギザカワユス!ヤスシ氏の「シィービレちゃったァヨ〜」はかなりイラつくので御注意。)に厳しく当りながらもさりげなく昼食を奢ってやったり、心臓手術の少年とのエピソードなどもホロリとくる。折返し駅、長崎での車掌達の宿泊所描写も当時ならではでしょう。

『喜劇 団体列車』(1967年)
伊予和田駅勤務・山川彦一役。愛媛県民必見。ロケ範囲も広く、ことさら御当地名所のシーンが多い訳でもないのですが”嗚呼,宇和島だなぁ。あぁ道後だなぁ”と云う地元情緒は充分に感じられる。
母親役ミヤコ蝶々嬢との親子の掛け合いは楽しく、笠智衆氏を軸のエピソードは彦一の男気満開。笠氏の娘役,城野ゆき嬢も 当時からしっとりと艶のある佐久間良子嬢とは好対照の、ちょっとおキャンだけど(死語ですな)一途な娘さんを好演。当時は私も子供ながら
「どっちにしたっち こがえな べっぴんが オラらんトコに おるかえ!」
(訳:「どちらにしてもこんな美人が私たちの町に居る筈はありません!」)
と激しくツッ込みました。
助役試験に落ちて泣く々アナウンスする「伊予和田〜いよわだぁあ〜」や駅便所のシーンも笑えますが何と云っても見所は渥美さんの「食い芸」。うどんの喰いっぷりや、おでんのコンニャクの「入れポン出しポン」などはもう「芸」と言って差し支えない。
ラストもほのぼの大団円プラス爆笑で◎,『南海の狼火』同様、愛媛が舞台を差し引いても大好きな一本であります。

渥美さんの作品で他愛媛が舞台のものでは『男はつらいよ 寅次郎と殿様』(1977年 / 大洲ロケ))が有名ですが、宇和島市近辺でロケのあった獅子文六氏原作・加東大介氏主演『大番』シリーズ(1957〜58年)のテレビドラマ版(1962年 / フジテレビ)に渥美さんが主演されている模様。詳細は不明でもちろん御当地ロケなどは無かったのでしょうが、何時か観てみたい。デアゴスティーニさんにでも期待したいところ。

『喜劇 初詣列車』(1968年)
車掌・上田新作役。題名からしても一番正月向きの話なのだが個人的には印象が薄い。これは単に私がローカル舞台である新潟に馴染みがないからなのかも知れません。(新潟の方すみません。)が佐久間良子嬢のフーテンの弟・小松正夫氏(当り前だが若い!)を立ち直らせようと奮闘する上田新作の姿にはジンとさせられます。



後年、渥美さんは「男は〜」シリーズで「渥美清=車寅次郎」のイメージを確立させますが、当初は御自身もそれを良しとせず固定キャラクタの脱却に務めます。が最終的にはこのイメージを徹底して守る境地に到ったと念われ、その為私生活はマスコミにも一切公表せず、仕事仲間とも距離をおき「フーテンの寅」と云う虚像を守り抜きました。その孤高の精神は私の中では「高倉健さんより”高倉健”らしい人」と云うことになっています。後のNHKドキュメンタリで、フーテンの寅を演じることについて御自身をスーパーマンになぞらえて語っておられたのが印象的でした。

私の父は国鉄職員でした。そのためこの列車シリーズで映し出される駅舎やホーム,列車内の風景は、子供の頃よく通った時に漂っていたあの、独特の匂いを彷佛とさせる。この映画に惹かれる一番の理由は多分、そんな所なのかも知れません。(ディーゼル油フェチかよ!)



さて”明日から仕事,ここいらで正月ボケを吹っ飛ばしたい”な方には迷わず『世界大戦争』をお薦めします。が観賞後トラウマになり、滝廉太郎作曲「お正月」を聞く度に暗い気持ちになっても責任は持ちませんのであしからず。(笑)

| 未分類 | 11:29 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

今頃?
hawkさん!今年もどうかひとつ!!(笑)
先日は嬉しいメールを頂きありがとうございます!
今年はhawkさんにとって飛躍の年になりますように!

しかし、愛媛県が舞台とは感動ものですね!!
寅さんの世界観にふれたことがないので、
評論なんてできませんが。
hawkさんの文を読んでいると・・・
オイラ観たくなっちまったな〜!
寅さんぽい?(笑)

| しぃ | 2009/01/09 09:40 | URL | ≫ EDIT

しぃちゃん
”明けおめ”でござる!


しかし、愛媛県が舞台とは感動ものですね!!

団体列車はなかなかオモローです。寅さんとはまたひと味違う。今度帰って来られたら観せるね。「TSUTAYA」にゃ置いてあるだろか?。微妙です。
その他宇和島地方でロケが行われたものについては下記参照。

http://tack7.hp.infoseek.co.jp/nenpyou/eiga.html

| hawk | 2009/01/09 16:34 | URL | ≫ EDIT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://spenser.blog70.fc2.com/tb.php/149-e0d5822d

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT